裏話 第17話 「笑いと健康」その3~~笑いと免疫

裏面の健康うら話 第17話 
「笑いと健康」その3~~笑いと免疫
(2012年12月作成)
 3回目の今回は笑いと免疫の関係についてです。その前に、免疫って何でしょうか?「免疫」とは、文字通り「疫病(病気)を免れる」ことですが、少し説明を補足致します。
免疫とは…
(a)「自己(自分自身の本来の細胞など)」と「非自己(抗原=異物・自分の体の外から入ってきた細菌やウイルスなど)」を区別し、「非自己」を攻撃・殺傷・排除すること、
(b)ときには生命そのものを脅かす変質した「自己(ガン細胞など)」を攻撃・殺傷・排除して「疫病(病気)を免れる」働きのこと、です。
これらのような働きを免疫力といいます。以下は笑いと免疫の関係について、いくつか実例を挙げてまいります。
(1)唾液中の免疫物質と細胞免疫
 唾液の中にはIgA(免疫グロブリンA)という物質があり、風邪のような上気道感染の予防に効果があります。いわば第一関門です。大学生のボランティアを被験者に用いた研究では、笑うと唾液中のIgAが増加するという結果が出たそうです。これは上記の(a)に関係するお話です。
(2)NK細胞(Natural Killer cell:ナチュラルキラー細胞)
 前回号の予告で少し書いたお話ですが、これは上記の(b)に関係します。NK細胞はがん細胞などを殺す働きがあります。私たちの体内では、1日に何千個ものがん細胞ができていると言われていますが、それらを殺してくれているのがNK細胞です。そのお陰で、私たちはめったに「がん」にならないのです。笑うことによって、このNK細胞の働きが増加すると言われております。
(3)笑いと自己免疫疾患:関節リウマチ
 これも、(b)に関する話です。免疫の働きが正しく働かず、誤って自分の体を傷つけるようになってしまうのが自己免疫疾患です。その代表的な例が関節リウマチです。関節リウマチではIL-6(インターロイキン6)という物質が疾患の活動性と密接に関係しているといわれています。
 楽しい落語を聴いて笑った後では、関節リウマチ患者のIL-6の値が3分の1に低下し、ほぼ健常者と同じレベルになったと、日本医科大学第一病院リウマチ科吉野医師が、1996年「心身医学」で発表しています。鎮痛薬の使用量も笑いで減少したということです。
 免疫力は、病気の予防や回復にとても大きな影響を与えます。免疫力を上げるのには、十分に栄養と休養をとることが一番です。また、暖かくすることも大事です。(よく風邪を引いたときに医師からアドバイスされますが、それと同じです。)そして、ストレスを少なくして、安らかに過ごすようにしましょう。これらと同様に、笑うことも大切です。
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●蛇足:
・文章という不完全な容器に盛ることができるのは
 不完全な記憶や不完全な想いでしかないのだ。
~~村上春樹「ノルウェイの森」より
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松山 眞千
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