裏話 第5話「耳鳴について」~~一部は神経痛と似ている?

裏面の健康うら話 第5話 
「耳鳴について」~~一部は神経痛と似ている?(2010年6月作成)
当院を「耳鳴」で受診される患者さんにお尋ねすると、脳に異常があるのでは?と心配で来院される場合が多いようです。耳鳴については、最初に「耳鳴は難しいのです。そして、主に耳鼻科が専門です」とお話することがあります。今回は、この”難しい”耳鳴についてです。
(1)音を聞く仕組み:
まず、私たちの耳に入った音は鼓膜を振動させ、その奥の中耳を経て内耳で神経の信号に変換されます。その信号が神経を伝って脳に届き、音として感じます。この神経を聴神経と呼びます。
(2)脳は聞こえない:
頭の中で音がするので脳に問題があると考える人がいますが、脳には音を感じるセンサー(いわゆる耳、マイク)はありません。ですので、耳鳴は原則的に「耳」または「神経」で感じています。ステレオヘッドフォンで音楽を聴くと頭の中で聞こえる感じがするのは、その理屈です。
 (3)耳鳴には大きく2種類ある:耳で聞いているものと神経で感じているもの
 (3-1)耳で感じている耳鳴(つまり鼓膜が振動している)
脳の中の血管が細くなる等して、血の流れる音がザーッザーッと雑音として聞こえる場合などです。脳血管などの精密検査や治療が必要になる場合があります。他にはゴミや水が入り、雑音が耳鳴の原因となったり、中耳の異常で生じるものもあります。これらは耳鼻咽喉科が専門です。
 (3-2)神経で感じている耳鳴(つまり鼓膜は振動していない)
炎症やケガなど痛みの原因となる状態ではないのに、知覚神経が勝手に興奮して、痛みの信号を脳へ送ってしまうために、痛みを感じてしまうのが神経痛です。
それと同様に、鼓膜は振動していないのに(実際の音はないのに)、耳から音の信号を伝える聴神経が勝手に興奮して、音を感じているかのように脳へ信号を送ってしまうために耳鳴として聞こえてしまうのです。タイトルの横に神経痛と似ていると書いたのは、このタイプです。難聴に伴う耳鳴もあり、この場合も必要に応じて耳鼻咽喉科を紹介いたします。
意外と多いのが生理的耳鳴といわれているものです。これも神経で感じているタイプです。誰にでもあるのですが、気にならないだけです。セミの鳴き声のように、または、キーンと聞こえたりもします。昼間騒がしいときや何かに集中しているときには聞こえません。でも夜になり静かになると聞こえてきます。私(院長)も子供の頃から聞こえておりました。成人して初めて気づくと気になって仕方がないという場合がほとんどです。これが難しい耳鳴の正体の一つです。
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松山 眞千