裏話 第16話 「サメとワクチン」~~数で比べると…

裏面の健康うら話 第16話 
「サメとワクチン」~~数で比べると…(シリーズ「笑いと健康」はお休みです)
(2012年08月作成)
 むかし人食いザメが人を襲うパニック映画がありました。あの有名な「ジョーズ」です。子供の頃その映画を観た私は、その晩は思い出して恐くて寝られなかったのを覚えています。
 ところで、海へ行ってサメに喰われてしまう確率よりも、家から海岸までにたどり着く前に交通事故等で死亡する確率(数)の方が圧倒的に多い、ということをご存知でしたか?また、サメが人を殺す数よりも、人に殺されるサメの数のほうが圧倒的に多いのです。
 上記を読んでも、やはりサメの方が危険だと思ってしまう人も多いかもしれません。サメに喰われる方が、交通事故に遭うよりも、怖いし嫌ですよね?(そうでない人もいるでしょうが…)
 さて、ちょっと話題を変えてワクチンのお話です。ワクチンは原則的にその病気にかかると危険な病気について作られます。(逆にそういう病気でなければワクチンを作る必要はありません。)日本脳炎や麻疹、風疹などは、死亡する可能性、あるいは重大な障害を残す可能性があります。インフルエンザも体力が無いお年寄りがかかると死亡してしまうことがあります。
 ここで、ワクチンの副作用のため何百万人に1人の割合で重大な障害や死亡事故が生じた場合、私たち(あえて以下は「世間」と書きます)は、過剰に反応してしまうことがあります。でも、そのワクチンを実施しなかったら、より多くの人が死亡してしまうというのも事実です。
 世間の反応は分かれるでしょうが、ワクチンのトラブルで死亡した場合には、「予防のための手段で死亡するのは何事だ!あってはならない!」という反応の方が、どちらかといえば多いと思います。一方、ワクチンを受けていないためにその病気にかかってしまい死亡した場合には「病気のために亡くなったので仕方がない」あるいは「お気の毒に」となるでしょう。
 薬の副作用による死者の数とその薬の恩恵で助かった人の数でも、同様のことが言えるでしょう。でも、ワクチンや薬における恩恵と副作用の対比のお話は、サメと交通事故数との関係の話と似ています。(感覚的に感じる危険率と実際の危険率との間に差があるわけです。)
 ワクチンの実施や薬の認可等の管理は役所が行っています。時に政治も関与します。でも、世間(世論)がその判断に影響を与える場合が多いのです。何が正しいかという話でなく、どういう判断をするか(どちらを選ぶか)というお話しですね。より良い判断をしたいものです。
 今回の裏話は、医療事情裏話になってしまいましたが、このお話に結論はありません。ただ、私たち一人一人がシッカリ知って考えることが大切だ、ということは少なくとも言えそうです。
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松山 眞千
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