裏面の健康うら話 第11話
「薬の自己調節」~~自己判断してよいかどうかについて
(2011年6月作成)
薬を自己判断で飲むのをやめたり、「前と同じ症状だから」と以前処方された古い薬を臨時で飲んでみたりしても良いものでしょうか?実は自己判断で使ってよい薬はかなり少ないのです。むしろそういう薬は例外的です。今回はお薬の使い方についてご説明いたします。
(1)自己判断しないほうがよい薬(場合)
(1-1)飲む時間(服用法)を変えた:例)血圧の薬で…
「朝起きて測った血圧が高かったので、朝食後用の血圧の薬をすぐに朝食前に飲んだ」という話を聞くことがあります。これは間違いです。そもそも食後用の薬は食後に飲むことによって、長い時間効果が安定するようになっています。また多くの薬は服用後すぐに効きません。逆に食前に飲んでしまうと、次の内服時間までの効き目が無くなり、かえって血圧を上げてしまいます。血圧が高いことが続いたら自己判断せず、予定日より早めに受診して医師に相談してください。
(1-2)以前処方されて残っていた薬を飲んだ:例)抗生物質で…
「風邪をひいたので前もらって残っていた抗生物質を飲みました」というケースもあります。これもお勧めできません。多くの風邪はウイルスによる病気ですから抗生物質は無効です。また仮に抗生物質が有効である場合も、菌の種類によって効き目は異なります。ですので、診察を受けて、病気に合わせて処方をされた抗生物質を服用するというのが正解です。
また、処方された抗生物質は最後まで内服しましょう。自己判断で途中で中止すると、生き残ってしまった細菌が薬のことを覚えてしまい(薬剤耐性菌)、院内感染などの社会問題の原因になります。(詳細はいずれ書くつもりですが、この件でご質問のある方は院長までどうぞ。)
(1-3)他にもたくさん:ここでは省略します。つまりほとんどの薬で自己判断は禁物です。
(2)自己判断して調節してもよい薬(場合)
たとえば、「痛み止め」「解熱薬」などです。「痛い時に1日何回まで使ってください」と診察時に事前の説明があると思います。また処方箋に書いてあるので、薬剤師から説明を受けると思います。そのような説明があった場合だけ、自己判断で使っても大丈夫です。
頭痛薬以外に、解熱剤、吐き気止めなども、そのような使い方をする場合があります。実際には、自己判断で使ってよい薬は品目数の上でもごくわずかですし、病院で処方される割合も少ないのです。是非ともご注意していただきたいと思います。
薬は患者さんと医師の両方で合意した上で使うものです。よく分からずに、ただ処方されたからといって飲んではいけません。十分に理解して納得したうえで内服してください。自分の勝手な判断で中止したり、飲み方を変えたり、家に残っていた古い薬を内服するのもいけません。
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松山 眞千
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