裏話 第18話 「薬の分類」~~使用目的でこんなふうに分けてみました。

裏面の健康うら話 第18話 
「薬の分類」~~使用目的でこんなふうに分けてみました。
(2013年4月作成)
今まで薬について何回か書いてきました。今回は分類をしてみたいと思います。
 (1)治療薬と予防薬
この分け方では、思いつく薬の多くは治療のための薬です。そこで、ここでは主に予防薬について例をあげてみます。まずは、ワクチンです。言うまでもなく、色々な伝染病の予防のために接種します。例えば、インフルエンザ、麻疹、風疹、肺炎球菌などの予防接種です。
次は別の例です。怪我をして傷の手当てを受けた時、予防的に抗生物質を処方された経験のある方もいると思います。傷口から細菌が入って化膿(感染)するのを防ぐ目的で内服します。つまり感染予防薬です。(肺炎や膀胱炎にかかった時に使う抗生物質は治療目的なので、感染予防薬ではなく”治療薬”です。)
当院は脳神経外科が専門ですので、脳卒中の患者さんも通院されています。一部の方には、「血液をサラサラにするお薬」を処方しています。いわゆる抗血小板薬です。また、脳の血の流れを良くするお薬(脳循環改善薬)を処方する場合もあります。これらは脳梗塞の予防薬です。
(2)根治療法薬と対症療法薬
治療は大まかに根治療法と対症療法とに分類されます。各々に使われる薬についてこの項目で述べます。根治療法とは、病気を根本から治すことです。例えば、肺炎で抗生物質を使い、原因となっている病原菌を退治する、などです。一方、対症療法とは、症状を和らげる治療のことです。先程の肺炎を例にとると、解熱剤や咳止めの薬などは対症療法のための薬です。
インフルエンザや多くの風邪はウイルス感染症です。抗生物質は、細菌感染症には効きますがインフルンザには無効です。以前は解熱剤などの対症療法しかありませんでしたが、近年抗ウイルス薬が開発されてインフルエンザに対する根治療法も施されるようになりました。
(3)実は生活習慣病の治療薬は… (生活習慣病については「第4話」を参照して下さい。)
生活習慣病は以前「成人病」とも言われていました。最近はメタボリック症候群などとも呼ばれていますが、高血圧・糖尿病・脂質異常症のことです。これらの病気の治療薬は各々検査の数値を良くします。具体的には血圧を下げたり、中性脂肪の値を下げたりします。
しかしながら、生活習慣病の治療の目的(ゴール)は、単に血圧を下げたり、検査データを良くすることではありません。高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病によって引き起こされる、脳卒中(脳梗塞・脳出血など)や心筋梗塞を予防することが本当の目的です。つまり…、高血圧や高脂血症のお薬は、「治療薬」ではなく「予防薬」なのです。
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●蛇足:
・愛はお互いを見つめあうことではなく、
 ともに同じ方向を見つめることである。
~~ サンテグジュペリ(1900-1943)
 フランスの小説家。童話「星の王子様」の作者として有名。1943年の戦時中に偵察
機に乗って飛び立ったまま行方不明になり、帰らぬ人となる。
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松山 眞千
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